Vol.02 オランダで人権と多様性について考え
(PDF版)オランダだよりをお送りしたことで、「オランダ」をキーワードに、食べ物、リサイクル、 政治、天気、アート、鳥、製薬など、いろいろなテーマでお返事を頂き、私もみなさまにいろんなオランダを教えて頂くことができました。ありがとうございました。また、これからもどうぞよろしくお願いいたします。 さて、今月の世界的に大きなニュースといえば、イスラエルとハマスの戦争ですよね。イスラエル側もハマス側(というより、ガザの住人)も、一般市民の方がたくさん亡くなっていて、今も囚われた人たち、避難するところがないのに攻撃に晒されている人たち、行方不明の人を待つ人たち、怪我を負ったのに手当てしてもらえない人たち、多くの苦しんでいる人たちに、平穏が訪れ、早く事態が終息するように願うばかりです。 私はハマスが選挙で議席の過半数を占めて勝利した時期にイスラエルに滞在していました (2006年2月)。パレスチナとイスラエルの状況も落ち着いていると言われていましたが、それでも「停戦中」。つまりそれは、いつどういうきっかけで戦争状態(イスラエル 国内においては、パレスチナ側からのテロが起こるか)になるかわからないということで、街中(特にエルサレム)では、緊迫したヒリヒリする空気感が漂っていて、逆説的ですが「平和」だといえない状況を経験して初めて、「平和」というのはどういうことなのか身をもって感じました。 アムステルダムには、『アンネの日記』で有名なアンネ・フランク一家が隠れた家があ ます。アンネは、差別や戦争のない世界がくるという希望を持ち続け、すべての人が尊重されることを望んでいました。殺される心配することなく生活を送れるということが、人としてどんななに幸福なことか、恵まれた環境にあるのか感謝をすると同時に、大変な境遇にいる人たちを助ける営みにつながることを少しでもできればと思っています。 2023年10月 purplea+ |
オランダと植民地オランダに移住してきてすぐ(正確には、移住初日。しかも、空港に着いて4時間後くらい)に、近所にあるコミュニティ・ガーデン(恐らく、日本の市民農園と公民 館の広場みたいなものを兼ね備えたような場所)で、開催されている青空ヨガクラスに参加しました。そこに来 ている人たちの人種は、白人、アフリカ系?カリブ 系?、インド系、アジア系と様々なのですが、みなさん オランダ語を流暢に話しているのでオランダ人なんだろうなぁと思ったのですが、多様すぎてビックリ!! クラスの後で参加者とおしゃべりする機会があったので、「すごく多様性に富んだ地域のようだけれど、どうして?」と、聞いてみました。そこで、「ほら、オラン ダの植民地だったスリナム、わかるでしょ?」と言われ、わからなかったけれど、わかったフリをして話を聞 いていたところ、スリナムが植民地だった頃にオランダに移住してきた人たちがこの辺りに住んだことから、この辺りは移民を受け入れやすい地域になって、多様な人 種の人たちが住んでる、と説明をしてくれました。 インドネシアがオランダの植民地だったことは知っていたけれど、スリナムってどこだろう? アフリカ? それにしても、オランダってインドネシア以外にも植民地 持っていたんだなぁと、オランダのことを知らなすぎることを反省して、調べました、スリナム。ご存知でした か、スリナムという国。 オランダ領ギアナと呼ばれた国 スリナムリナムは南アメリカにあります。(アフリカではありません、私のバカ! でも「旧オランダ領ギアナ」と聞けば、ギアナ高原に行ったことあったので、南アメリカだと推測できました。。。言い訳ですが。) |
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← 左横の地図(南アフリカ大陸)のグレーのところが、スリナムになります。東がフランス領ギアナ、西はガイアナ(旧イギリス領ギアナ)、旧スペイン領ギアナは、現在のベネズエラの一部です。
ヨーロッパ人がアメリカを発見(侵略)してから、16世紀にスリナムはイギリス とオランダが入植し、所有権を争った結果、オランダの植民地だったニューアムステルダム(現在のニューヨーク)をイギリスに譲渡することでスリナムはオランダ領地となりま した。植民地化した後は、タバコやコーヒーなどのプランテーションのために、アフリカの人たちを奴隷として連れてきますが、19世紀になって奴隷制度が廃止になり労働力不足となった ため、中国、インド、オランダ領東インド(インドネシア)などから、多くの労働者を移民として 受け入れたことにより、インド系、アフリカ系、先住民、混血、インドネシア系、中国系、白人と多様な民族が住む世界有数の多民族国家となりました。 と、いう訳で、スリナム独立前にオランダに移住したスリナム人=いろんな人種=この人たちもオランダ人の一部(2世、3世になっていると思われます)、ということで多様な人種がいると思われます。 |
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多様性を受け入れるオランダの風土オランダの国籍を持たない「移民」としては、トルコ国 籍、モロッコ国籍の順に多く、オランダの人口に占める移民の割合は13.4%(OECD加盟国の2019年のデータで加盟国の中で15位)、7人に1人が移民ということ になります。 このように白人以外の人種のオランダ人や外国籍の移民の多さ、(90%以上のオランダ人が英語を話すという)高い英語の普及率などが、オランダ初心者で日本人の私でもオランダ(特に移民が多い都会のアム ステルダム)で、差別を受けづらく、疎外感を感じない理由だと思います。 映画館で見たオランダのCMでも、いろんな人種の人たちがでているだけでなく、(腕がないなど)身体的に異なる人など普通に出演者の一人として出ています。 また、今では先進国を中心に多くの国で導入が進んでいる同性婚ですが、オランダが世界で最初に法的に実現させた国です。ここにも多様性を認める姿勢が窺えます。 ちなみに、日本では総人口に占める外国人の割合は 2.2%(2020年 総務省統計局)、上位3カ国は中国、 韓国、ベトナムでこの3カ国出身者が日本在住外国人の 約6割となります(出入国在留管理庁) |
図書館で見たインクルーシブ本棚と本棚の間の通路の幅はとても広く取られています。それは、どんな人でも図書館を利用できるように、という配慮からだと思われます。 |
【あとがき】今回は予定を変更してオランダの多様性について書きました。実は私が最初にオランダに来た年は、オランダでは安楽死の合法化ついて議論されていた時で、その進んだ考えに非常に驚いたと同時に、その時からどうしてオランダがこのように先進的でリベラルなのか知り たいと思っていました。オランダ移住したので、これから少しずつ探っていきたいと思っています。 |
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